ユーラシア史と動物 2

世紀の祭典、第2回東京五輪の前年に、元馬術の日本代表であり、JOC会長という重責者の汚職容疑による辞任劇を皆さんはどうお感じでしょうか?

一口に馬術と云っても、その仕方は様々。近代五輪に採用されているカテゴリは、元来ガリア貴族が定位した内容であり、乗り方の作法や動作の精密性が競われるものである。しかし馬術にまつわる種目の変化も大きく、戦前(1936年昭和11年)のベルリン五輪(別称ヒトラー五輪)の時代には、戦争を反映し”障害遠乗り”の技能を問うものもあり、参加選手の殆どが軍人であった。言うなれば、戦いの道具、否、戦いの相棒、といった側面が最も的を得ている関係性とできる。日本陸軍史を紐解けば、「愛馬行進曲」という軍歌が愛唱されて来ていることはご存知の通り。

日本の近代陸軍における騎馬隊創設の象徴といえば、秋山好古陸軍大将が名高いが、当時最大の国家的苦労は何であったか、、、少し時間を取るので皆さんにも想像していただきたい。

3分後

その苦労は、大陸の陸戦で使える脚力、体格を備えた軍馬の入手確保であった。日本列島に生きる固有種は、現在のポニーに等しく、とても近代の激しい陸戦に耐えるレベルではなかった故、大陸での大々的な買い付けによる頭数確保は、至上命題となっていた訳である。日露戦役の勝因はもちろんに対馬沖海戦が主因であるが、以後の陸戦を支えた馬の活躍も決して見逃せない。一つ蛇足(いやディープな知見?)を申せば、この馬の買い付け事業と戦後の我々日本人のお茶の間飲料”カルピス”誕生は、深い関係で結ばれており、カルピスを意訳すると、”馬乳酒”となる。なんとなくニンマリしてしまうのは、読者共通の感覚であろう。更に言うと、馬乳酒文化のルーツは「元」チンギスハーンに始まる、としてユーラシアに戻ることとしたい。

ユーラシアを舞台にした人類史上初の世界帝国の実現、これこそが元チンギスハーンの功績を正当に表現したものと言えるであろう。所謂、ボーダレスの元祖である。馬の話とも当然に密接であり、世界帝国を成し遂げた力の源泉は、最強騎馬軍団の編成と運用以外のなにものでもない。ユーラシア史と動物を語る上での中核の登場である。

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