ヒューマニエンス「”イヌ”ヒトの心を照らす存在」を視て

 テーマ選定が誠に旬なヒューマニエンスですが、今回はまさかの動物であります。とうとう人間枠から飛び出ましたので、以降の素材の自由度も大幅に拡大されました。番組を作成するNHKも、十分にそこを意図していると感じています。故に、追跡は継続することと致します。今回も、内容の中で好奇心に引っかかった部分をいくつか書いてみようと思います。

➊ 今、求められる動物学

 遺伝子・IPS細胞・脳-認知科学/AI・宇宙開発 等、ヒトを説明しようとする研究は、日進月歩の様相であり、益々に掻き立てられるようです。その研究スタンスは、殆どがラボ環境におけるデータ運用を基本としている中で、想うことがあります。それは、観察・接触・交流という、アナログスタンスの有効性です。デジタル時代の今、データとその読み方こそが研究である、と見紛いそうですが、ヒトの探求原点は、あくまでも素朴なアナログ感性であることも忘れてはならないと強く感じられています。上記した、動物学こそは、ヒトを識る王道であると同時に、その方法としてアナログ感性が重要になります。事実、ファーブル昆虫記/シートン動物記は、全て地道な観察によって見出されて来ています。含めて、動物を観て、触って、関わって、感じ取られることは、翻って人間を識る為に効果的な視点を与えてくれるのです

❷ 究極のパートナー猟犬

 社会性を持ち、動物群に接近・利用したことは、ホモサピエンスを考える大事なポイントになっています。接近利用してきた動物群は、猫・馬・牛・羊・犬 がその中心になりますが、中でも猟犬は、その真骨頂と言えるでしょう。犬とヒトとの共生の証拠は、1万2千年前のイスラエルに見られるようですが、家畜の出現以前のこの事実は、その本来的な相性を物語っています。猟犬能力の象徴である、嗅覚/運動能力/斥候、そしてヒトとの関わりの中で学習?される言語理解力は、愛情対象のパートナーとまで言わしめる深い関係を創っています。では、如何にしてこのレベルの『絆』と『信頼』に至るのか。ハンティング能力の意味と実態は、ここに存在します。この辺りの視方は、ローレンツに詳しいことをご紹介させていただきます。

❸ ヒトを理解する最たる動物

 MRIの映す画像情報は、身体内部の動態を多く見せてくれますが、今回は驚きの犬の脳を対象としたものです。通常、動物にMRIを使うことは困難ですが、ここは犬の持つ躾効果を利用した、ならではの知見であります。内容は、人間の使う言語をどのように聴いているのか、または理解しているのか、でありました。結果、言い方としてのイントネーション感受、言語自体の記憶・判断含め400語前後を把握している実態が診えているとのことでした。ここから、聴覚の絶対的優秀性と、言語すら捉え得る能力が確認されますし、野生動物性に付加される共進化とも言えるのかもしれません。

❹ 共生のなぞ

 最も引かれた内容です。ここでは、ヒト-犬に共通する特性である『ネオテニー:幼形成熟』を前提とした生存戦略の考え方が紹介されました。ネオテニーとは、遺伝子を残す為の有利な状況を獲得するため、敢えて形態を完成させずに成熟期を迎える種の戦略、と解釈出来ると思います。それは、生存手段としての互助意識と依存関係を産み、結果としての協力/集団の力に繋がり、大きな力に対抗してきた訳です。そのプロセスと違いは、肉食獣の容貌~愛玩動物の形態に如実に現れています。ゆえに、番犬からペットに至る流れを視た時、犬のしたたかさとその成功実態、が浮かび上がって来るのです。まさに、ドーキンス礼賛とさせていただきます。

★動物学とコーチングは、密接です!

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