「冬眠と武道」の意外な関係?
この違和感限りないテーマ、どのように捉えますか?
一見、どんな繋がりも見出し得ない不可思議な取り合わせのように映ります。しかし、BC(:バイオロジカル コレクトネス※前回ブログで紹介)の視点と、日本含めた武道修行の要諦や養生術(中国古代よりの長寿術体系:五禽戯)を重ねて診たとき、十全な連関性が見出されます。今回は、その一端を書こうと思います。
「冬眠」と言えば、動物の専売特許であり、恒温動物哺乳類の熊を代表として、また変温動物達にとっての”越冬戦略”であるとの認識は一般的です。そしてその最大動機は、低温環境による代謝・活動性低下と食資源減少期をやり過ごす延命術、が妥当なものでありました。その解釈に対する旧来からの疑問は、『なぜ、臓器群がエネルギー摂取のない状況に長期間耐えうるのか?』であり、未だ解かれぬ謎の一つとして残っています。翻って、中華五禽戯の中に”熊戯:ようぎ”が籠められている理由も、恐らくそこに強く関連したものであろうと考えています。しかし、今までの認識に近年の知見を照合するに、新たな実態が露わになって来ました。以下に、そのポイントをご紹介します。
●哺乳類の冬眠は、いわゆる”冬季うつ”と同義現象 → 環境と生命の重相関
●冬眠の裏の役割1⃣は、”からだのメンテナンス” → 体内パラサイトの駆除
●冬眠の裏の役割2⃣は、”活性酸素発生の低減化” → 癌罹患率の低下と長寿傾向
こういった視点群から言えることは、少なくとも、陸生動物に於ける低酸素/低体温/低代謝の効能、でありますし、そっくりそのまま哺乳類ヒト科にも適用される仕組みである訳なのです。やや抽象化すれば、「存在の抑揚」と出来るかもしれません。まさに合理的な生物相でありましょう。では、そこに納得しながらも身体科学界に眼を遣って診るとどうでしょうか?どうあっても、最大酸素摂取量独り歩き、の時代性から脱却しえない状況があることは事実ですし、とても抑揚は感じられません。
では武道修行の世界に眼を移してみましょう。ここで目指される最要諦こそは、『如何に酸素を使わない身体に成れるか』であります。その意味で、武道は呼吸に始まり呼吸に終わる、と表現される謂れなのです。事実、様々なる呼吸制御術や訓練法を診るにつけ、そこはかとない真理と深い洞察を感じずにはいられません。これこそ『陰』と称される側面ここにありと、強く感じられますし、あらためての五禽戯が立ち現れて来ます。
古来の慣習が、BC知見により明らかにされる時代です(^^♪