音の時代
前段の『リズミング』に引き続く内容です。
ヒトの三大感覚モダリティは、視覚-聴覚-皮膚覚 であります。これらを外部感覚器とするならば、固有受容感覚/筋覚/内臓覚/平衡覚 等の内部感覚器含め、柔軟な可塑性はありながらも、欠かせない機能群です。医科学世界で、それらを分割して捉えようする取組は長く為されて来ていますが、複雑さと共感覚性の壁に跳ね返されて、変わらずその構造が診え切らないままになっています。少なくとも、より診えて来る方向を見出すには、今までのパラダイムを転換することが必要かつ効果的であることは自明だと思います。今回はあらためて、「聴覚:音」に対して、より生活に近い視点からの内容を書こうと思います。
焦点を当てるのが、~BGMの力~ であります。一見、当たり前に過ぎることですが、とてつもない影響下に生きている事実を再認識します。例を出すならば、商業施設の音響・ハリウッド映画音楽・世界のマーチ音楽などは、日々に我々人間の行動を大きく左右しています。一度、音響を抜いた映画を観ていただくと、その意味は如実になるはずであり、あまりに味気ないものに成り下がってしまいます。また、音響の無い”ディズニーランド”は全く想定出来ません。感覚的に表現すれば、「その気にさせてくれる、絶大なる水面下効果」と言えるでしょう。少し深掘りすると、現代におけるその発想原点は、プロパガンダを政治利用した”ヒトラーのナチズム:国家社会主義労働者党”であり、彼らの画策による、暗夜での松明と音響による党員行進 が象徴的です。もちろんに、背景には民族を代表する「フロイト論理」が鎮座していることは間違いありません。そして、フロイト思想を国策として輸入した米国が、映画/マーケティングに十全に活用しつつある姿、しっかりと見て取って欲しいところです。生々しく言えば、「ハリウッド映画による世界への米国プロパガンダ」に完全に浴した、我々の日常であります。少なくとも、そのエネルギーを客観視する眼は必要だと痛感しています。
また、視点を足元に戻すと、脳障害にまつわる、「リハビリテーションにおける音楽・リズム効果」が徐々に拓かれて来ています。この事から診たいことは、三大感覚モダリティの中でも、聴覚が最底辺(潜在意識関与)に来るものなのではないか、そしてその関係性が、共感覚を産む始原なのではないかとの知見であります。かつ、それが運動指導の場で現われる現象こそ、「わざ言語」そのものであるという繋がりになって来ます。
総じて、マクロからミクロまでが、無自覚に影響されるエネルギーとしての「音世界」に注目したいと思います。