「身体心理学」という夜明け

 人間の本質への接近として、意図し続ける”肉体と精神”は尽せないテーマです。しかし、せめてもの効果的行為・より良い支援/指導を想うにつけ、そこへの探求心は膨らむばかりとなっています。探求の切欠はあらゆることが中る訳ですが、今回は、近年創られた学術用語・領域である、「身体心理学」の紹介です。この用語の国内使用は、春木豊先生(早稲田大学名誉教授)が最初と視えており、そのままの表題書籍が出されています。また、今では”ソマティック(:身体性)”という横文字を嵌めた、「ソマティック心理学」なる領域が構築されつつあります。これらの動きは、いわゆる、身心の統合解釈への現代版と言えます。関連の学術志向は、古代言語成立以降、東西(ギリシャ/中華)における知の爆発を契機に現在に至るまで、常に興味関心の的になって来ています。特に、ギリシャ哲学系譜の17世紀フランス人:ルネデカルトに始まる”心身二元論”は、現代心理学形成の歴史中核でありましょう。ここから、心理ー生理の分類とその科学化が走り始め、西洋知なる一部を成しています。

 この分類科学に対極し、棹差す診方(思想)こそは、”ホリスティック:holistic”であります含意は、統合/繋がり/包括/全体 となり、人間になぞらえたならば、肉体・精神・霊性 のあらゆる存在側面(哲学用語での、形而上/形而下)を捉え、関与しようとする領域です。言い換えると、見える と 見えない と、その相補性認識となります。ホリスティック概念自体は、ギリシャ由来ではあるものの、キリスト教と産業革命、共産主義の思想的影響により、押しやられていたものが、奇しくもの認知革命により再興されつつあるようです。多くは、「代替医療」で用いられますが、そこからの拡がりは始まっています。国内でも、”ホリスティック医学”は引き受ける場として存在感を増しています。もう皆さんはお気付きと想いますが、この人間感性はオリエンタリズム:東洋性の真骨頂なのであり、仏教・易・道教の思想と実践を背景とした、”身心の一体把握観”に表れています。日本人にもお馴染みの「心技体」なる表現も、ここにこそ所在を得るのです。

 過度な還元思想による弊害と、実態からの遠離の最中これからを乗せる思想に相応しい力を持っています。その意味では、ホリスティックは、東西思想の数少ない共通する視点とも言えるでしょう。今回掲げた身体心理学も、心理生理の分類思想からの脱却による本質への接近可能性、を意図した紹介と啓蒙です。

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