『世界一美しい型』と清水希容選手
野球・ソフトボール同様の東京五輪種目と括られつつも、日本武道のイメージは世界に再認・再燃されたかのようです。その象徴こそは、世界一美しい型と云われる空手道『型』で、銀メダルを獲得した清水希容選手であります。その型表現に於ける、動きのキレ 冴え 端正 合気のエネルギーは言葉の有効性を越えています。正に、くノ一”武士道”を体現していること、これ見よがしと言えるでしょう。清水選手を習熟位相で云えば、わざの身体化を経て、完全なる自在即興位相にいる筈です。同胞ですらそう感じること故、国際アピール度はそれに数倍していることも間違いありません。可能性として、嘉納治五郎柔道に追随する種目に昇華することも考えられます。日本柔道の今回の成果は、第一回東京五輪での神永選手の敗戦(vsヘーシンク)からの復活を意味する大会となったことは、言わずもがなであります。
その理由の一つに、欧米圏文化としての運動感性にはない質(特に機能美)である、ということが挙げられます。いわゆる、気に代表される”気配感知”などは、西洋知の世界では拾い切れない現象なので、取り込みたい意識は旺盛になるでしょう。少なくとも、欧州の身体文化には存在し得ない感性であり、メルローポンティですら越えていない境界と映っています。
二つに、ダンス文化の応用での”動きの主観評価”には慣れっこなので、採点の精度(一見の客観性)確保への自信も大事なところです。
三つに、奇しくもスペインのサンドラ・サンチェスが金メダルを獲っていることで、欧州人の適応性とレゾンデートルが確認出来ていることもIOCの材料としては外せないことと想われます。
あらためて、世界一美しい型をつくづくと観ながら、日本人のわざ感性である、「コツ・カン/洗練」の種目動静に馳せています。