食 と 性

 ヒトの生物としての進化重層性を考えるとき、最底辺は「食 と 性」に集約します。この生存行為(機能)は、地球上生物に普遍であり、植物が象徴となりましょう。彼らは、運動器を持たないゆえ、生涯、選んだその場で食と性のみを全うします。その双極を表象するのは、「根 と 花(果実)」になり、地球の循環作用をそのまま体現する訳です。植物学 農学 遺伝学 環境学 園芸 詩歌の心 等、どの側面から診ても、その生存戦略・機能性には驚きを隠せませんせめて動物との比較を試みるとき、摂取 吸収 体内 体外 の関係が、真逆(入子)になっていることに気付かされると思います。そしてそれを繋ぐ唯一無二の現象が、「光合成」であり、太陽系地球環境における膨大エネルギーを可食化させる張本人なのです。草食系(?)なる食性区分を成立させる基盤を、あらためて想い知らされるのは私だけでしょうか?そして、植物同様に持つ、動物・ヒトの食と性から、全ての発想を立ち上げる必要性が強く感じられています。

 性 遺伝子 発生 進化 細胞 は、分子生物学の中で、鋭意、研究が進められていますので、その成果群は我々を探求心の虜に誘ってくれます。また同時に、飼育・観察・解剖・発掘といった手法限界を越えて、ヒト科を理解しようとする大いなる一助になります。しかしここで言いたいことは、ラボ話ではなく、ヒトが日々効果的に生きる上で、これをどう知り、扱い、浴するのかという、”知恵”に属することなのです。ともすれば、「秘め事」でベールを覆われてしまうことではありますが、生命論の立場から、堂々と説き起こす時代は目の前です。”エロ”なる言葉の起源を申せば、古代ギリシャ神話の初めに来る、カオス/ガイア/タルタロス/エロス という4神に坐しており、含意は「結合原理」を象徴する神でありました。その神への”愛”をエロスと称されて来ているのです。存在原理としての性、生きる無自覚的最大エネルギー、の正当理解と運用、教育は、ヒトの能力開発や発揮をプロモートする立場にとっては、絶対的に避けて通れません。一つの例示をするならば、旧来の軍隊入隊時に行われる身体検査の肝は、「結核 痔 性病」でありました。(※もちろん現在も)兵隊になるには、生殖器 と 消化器 に問題があれば入隊資格がないということの意味は、一般認識以上に深いのです。引いて診れば、身体が商売道具であるスポーツマンのコンディショニングに、何故、この視点が含まれないのか、甚だ疑問が湧くのです。いわゆる、アスリートの女性問題スキャンダルにほくそ笑む前に、生物的事実に向き合うことしかありません。

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