リズミング
分かったようで分からない造語ですが、学府の先達である”松延博”先生よりいただき、以降に繋ぐ立場からご紹介します。響きのままに、リズム現象に関する含意意図は汲み取られることと思います。実際その内容は、生体律動性に具体的に働きかけることであり、一般的表現に言い換えれば、リズムトレーニング と言えるのかもしれません。
振り返れば、体育科教育・近代スポーツと言った論議が盛んになるにつれて、リズム感性の抽出と、その良し悪しの評価が為されて来るようになりました。しかし構造実態は、未だ大いなる黒箱であり、”寄らず触らず”の筆頭です。事実、業界内で革新的研究も現れていないでしょう。より踏み込んだ歴史を診るに、国内では明治期に於いて、リズム 律動性 調子 拍 と言った概念の元、西洋音楽の輸入と共に扱われるようになって来ました。もちろん日本にも音楽世界はありますが、音符や楽譜などの記号基準を用いない文化ゆえ、西洋ほどの拡がりや効果性はありませんでした。そこに音とリズム(音符と楽譜)という一見の客観性が持ち込まれた訳です。その第一人者は、ご存知、滝廉太郎 その人であり、「荒城の月」は象徴作品と言えます。滝廉太郎自身、齢23で人生を終えており、天才性を持ちながらの短すぎる生涯は惜しまれるばかりです。日本の伝統的 詩歌 に音符を付ける作業、まさに和洋折衷時代の只中でありました。これを皮切りに、日本歌謡史が表に出て来るのですが、その系譜は確実にバトンされています。2020年のNHK朝ドラ「エール」の主人公”古関裕而”氏も、重要なるそのリレー役です。ちなみに、彼の手になる「軍艦マーチ」は、世界三大マーチに数えられておりますし、全国高等学校野球選手権大会のテーマソング「栄光は君に輝く」はあまりに著名な業績です。
こういった歴史が、どう運動・体育・スポーツの臨床に繋がってくるのか?次に書こうと想います。