手 の可能性
”人間らしさとは?” と問われて、何が出て来るでしょうか? 二足歩行 言語 等、様々な意見があると想われます。中でも今回は、「手」に焦点します。まずはお得意の解字をしますと、これは典型的な象形文字で、5本の指のある手首から先の様態を模しています。そのままで分かりやすいと思います。手指の進化由来とそのプロセスは専門に譲るとしまして、我々人間が生きる上で、それがどれほど”人間らしさ”を現す機能を負っているかを考えます。あらためて披いてみれば、接触 知覚 感知 把握 操作 創作 支持 投げ 受け 理解 循環 手印 舞踊 楽器 合図 等、とても尽くせないものである訳です。日々何気なく動員していると、当たり前に過ぎますが、今一度取り上げる価値は大きいでしょう。不幸にも、何がしかのトラブルや障害を得て初めて、その意味に気付かされるのが性ではありますが、異、コーチングに於いては必須の訓練対象なのです。今更ながらの可塑性は、そこに現れるでしょうし、人間らしさの中核機能性を改革することは有意義なる変化を演出すること請け合いです。事実、古代の術に生きる人間達(国内問わず)は、手指を取り出した基礎訓練を必ずカリキュラムに加えていることを診ても、納得の一言になります。一つ、普遍性に迫る例をご紹介しますと、聾者の使う手話技能に関して、上手に使いこなす人 と 未熟な人 の間で生じる差異が、コミュニケーション能力は勿論のこと、その人間の生きる空間認識に至る、という事実です。こうなると、学際視点の出番ですが、この普遍現象をどう理解し、健常者の能力開発に応用できるか。コーチの腕と知性が試されるところでしょう。
体幹 体幹 も結構ですが、より存在の淵へ進んでみませんか!!
以下、カントの名文を記します。
『理性動物としての人間を特徴づけているものは、誠にその手、指、そしてその指先の形状、組織のうちに存している。それには、その構成は勿論であるが、柔らかな触覚が大きい役をしているのである。自然はこれらの精巧な組織を通じて、単一な器官としてでなく、総合器官として、あらゆるものの取り扱い方を可能ならしめ、又一方理性器官としてこれを使用し、熟練せしめることによって、人間を理性的動物として技能的素養の内在を明示しているのである。』