ゲルマン魂 Ⅵ

 常に東西両面のバランスを取った戦術と兵站の思考は、ドイツ軍を発達させた要因と思われます。しかし同時に多面戦争の難しさが、国家存亡を危うくするのも事実です。以降続く世界大戦は、その具象化であり、ドイツの内情をそのまま映したようでした。ドイツ統一を果たしたのは、政治面のビスマルク、軍事面のモルトケ、の剛毅な両輪でありましたが、それに続く人材輩出が為されなかったことは、第一次世界大戦の敗戦と厳しいヴェルサイユ体制下に敷かれる起因になったと言えます。ただしかし、プロイセンの軍事思想は残っており、戦場での力は変わらずの強さを発揮しています。故に、政治面での人材不足がその実際でありました。

 結果的に、未曽有の賠償金負担、国土割譲、軍備縮小等、三重苦四重苦の国民生活を強いられることになったのです。そうなると世論が、それを打破しうる人材を希求するのは自然です。継いだ、ヴァイマール共和国もその任に足らず、短期で消滅しています。この気運の中で立ったのが、ナチス:国家社会主義労働者党のアドルフ・ヒトラーです。それは神聖ローマ帝国から続く、第三帝国と言われ、ローマンシンドロームとゲルマン魂の系譜を全権委任という立場で、独裁的に引き受けることになりました。ヒトラーの政策の代表的なものを診ると、ガリア人の精神性がこれほど如実に現れているものは無いと思わされます。それを抽象で言うならば、憧れ 出自の正当化 古代への郷愁 が適切でしょう。ちなみに、ナチスの鉤十字:ハーケンクロイツは仏教の『卍 まんじ』からの引用であることは間違いありません。以下に、一部政策を記載します。

〇 ベルリンオリンピックの政治的活用 → リーフェンシュタールによる広報映画「オリンピア」

〇 優生学(民族衛生学)の実行 → スケープゴートとしてのユダヤ人のホロコースト

〇 ヒトラーユーゲント(青少年団)の養成 → 会津白虎隊由来の教育思想:ボーイスカウト

 視点の偏りは自認しますが、世界の民族の中でもこれほど出自に苦労し、その苦労が逆に世界へ大きな影響を与えた民族:国家も存在しないのではないかと考えています。その募った想いを”ゲルマン魂”と自称し、民族意識を発揚せざるを得ない事情は、現状も何故か当然のごとくに採用され続けている、日本の体育教育教材としての『器械体操』に反映されています。原点は、明治初期よりの体操の輸入に始まりますが、体操ニッポンの文化との縁は見逃せないところです。

 その動静を近々で言えば、現メルケル首相によるギリシャ危機の救済はそのど真ん中なのです。

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