内臓力

 「腸は、免疫本部である。」という医科学の事実を踏まえると、俄然、”内臓力” という概念に深みが増します。また、解剖学者の 岩堀修明さん が、「内臓は動物体の主役である。」とも表現しています。これらの事は、生物の活動基盤 としての存在へ再接近する材料として、美味なる モツ ホルモン を、今一度しっかりと取り上げ直すキッカケとしたい訳です。一見、無自覚に不可視に働き続ける内臓群ではありますが、間接関与は有効であり、必要であり、可能なのです。俗に、”物言わぬ臓器”、とは言え、その機能性は大いに露呈しています。決して、腹痛時のみに立ち現れるその実感、だけではないのです。しかもそれは、機能から心情まで、と全人的に拡がって行きます。一つ、素晴らしい言葉をご紹介します。それは、数年前にTBSのテレビ番組で放映され、今般も再放送された、JIN『仁』という作品の中で、主人公の助手である”橘咲:たちばな さき”(配役 綾瀬はるか)のセリフに出て来る表現です。それは、「脈打つこころ」という言葉です。正に、臓器の拍(蠕)動性 と ヒトの心情 は一体化した現象であることを言わんとする、素晴らしいセリフでした。そうなのです!意識以前の 無自覚に湧き上がる想い の起源は、内臓由来のモノなのです。その反応は反射的であり、無意識であり、あまりに強力ゆえ、メンタルトレーニングでも最も厄介な現象になっています。心理学のみで対峙するのは、やや心許ないとは想いませんか?その表出実態をせめて理論化しようとした取り組みが、クレッチマーの医学心理学 や フロイトの精神分析学 でしょう。フロイトの業績は、近代思想を構成している 3哲人 の一人に数えられるほどのことですので、言わずもがなの影響力です。もうお分かりの通り、いわゆる”無意識”世界の機能性と心情の発露なのであり、”生かされている力”の本源との接触になるのです。そういった、包括現象の実態として認識し、具体的に運用することが、『内臓力』というテーマを引き上げる最大の目的です。以下に、その定義を記載します。

生命現象の中核である、呼吸・消化吸収排泄と、司る臓器群の安定性により営まれる機能総称

 近年、”スポーツ内科”という言葉が使われるようになってきました。従来より、外科/整形外科がスポーツ医療や運動処方の中心でありましたが、その眼がやっと本格的に内部へ向き始めた世相にあると感じています。古代から、内功 なる表現で扱われて来た対象が、現代思想の上で再びライトを浴びることになるでしょうし、『本道の再来』と言えるかもしれません。中華思想ならば、”陰”の属性になりますし、フロイトならば、”氷山の水面下”というところです。元来、聴診器と血液検査のみが頼りであったモノを、具体的に立体的に心理的に扱ってみようとするのですから、認識も立体化しなくてはなりません。その作業は、次回に譲ります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

eleven + 19 =