導引(=どういん)という根

「導引」

 現代となっては、ほぼ死語に属する言葉です。また、近似して扱われる「養生」も同様でしょう。せめて中華思想・医学に傾斜している方以外は、あらためて調べるのかもしれません。ではもっと近しい表現に変えれば、気 気功(内功/外功) 呼吸 意念 太極拳 功夫 武術 → 禅 あたりで、認識の着地だと思います。自身、これらに関して、テーマを変えながら多く書いていますが、探求側面から診てみます。

 この文化は、当然に中華よりの輸入品であります。故に、発生・発端・起源に接触しようとするとき、そこへの介入は避けて通れません。介入先は正に中国史になりますから、なかなか長大です。少なくとも発生の原点たる、BC1500年頃の「殷」 BC1000年頃の「周」 BC600年頃の「春秋時代」 BC403~221年頃の「戦国時代」 BC221~206年頃の「秦」 BC202~AD8年頃の「前漢」 AD25~220年頃の「後漢」 AD220~265年頃の「三国時代」 にタイムスリップしてみたいと思います。その方法は、歴史文献/映画/小説/漫画/伝聞/訪問 等で限られますが、不足は個人の洞察で埋めることしかありません。中国語という壁も立ちはだかることは事実ですが、「漢字」という共通点は依るすべになります。その意味で言えば、一般国語辞典ではなく、有力な漢学者「藤堂明保」「諸橋轍次」両先生クラスの著された辞典を備えることは必須と言えます。そういう自身も、この渦中で日々に溺れるばかりの人間です。

 では、導引への接触に際し、外せない古代の渡り石を具体的に提案します。

➊ 周時代に編纂された”易経”の外堀を押さえること

❷ 戦国時代に出現した諸子百家のうち、孔子 老子 荘子 墨子 孫子 の認識を捉えること

❸ 秦始皇帝陵の兵馬俑/馬王堆出土資料と導引図 の把握

❹ 後漢の武帝治世を識る

❺ 三国時代の呉”曹操”の生き様と、担当医”華佗”の「五禽戯」に注目する

 この5点はあくまでも、当方の認識であることは了解していただいた上で、参考にしてみて欲しいと思います。5点確保が叶えば、そこから一挙に「隋」「唐」へまっしぐらというコースになっています。三国時代以降は、次の機会に再びご紹介します。これはそのまま、儒教 道教 仏教 の融合で構成される中華思想の骨子を診ようとするものであり、思想体現法としての「導引術」の姿とその変遷を掴むことに繋がってきます。そしてその導引術が、日本海を渡り、我々日本人の文化背景にいかに深々と沁み込んでいるか、を知ることは、学術上も意義あるものだと思います。

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