ヒューマニエンス「”がん”それは宿命との戦い」を視て

 可能な限り、この番組を追跡しようと思います。

 著名人の死/闘病/復活の姿が多く取り沙汰される昨今、前回の「死」に引き続くテーマは、「癌:がん」であります。身に余る事ではありますが、感じられるままに任せて雑記します。国内の致死疾患統計は現在、➊悪性新生物(癌)❷循環器疾患(心臓)❸肺炎 となっており、この順位は戦後に定着しました。戦後と付けますのは、時代性と環境変化により、変わりゆく疾患の相として捉えようとする意図と同時に、戦後の変化の大きさを認めたいこと故であります。事実、人類文明性の発現以降、文明以前には殆どあり得なかった疾患・症状が大手を振っている実態や、新たな疾患の命名とともに拡がる様子は、まさに物語ると思います。その意味で言えば、総じて「文明病」と位置づけが出来る筈です。今回の「癌:がん」は、多細胞生物の宿命 であり、元来の死因であることは事実ですが、現代の増加一途の傾向を創っている因子が生活にあることから診れば、文明病 と括ることは中るのではないかと考えています。番組の中では、多くの研究知見が紹介されましたが、ここでは大きく2点に分けてみたいと思います。

α 秩序と宿命

 37兆に至る多細胞群を、ある秩序(法則/遺伝子情報も含む)に則り、50回の回転上限へ向けて、粛々と増殖・廃棄を繰り返す姿をあらためて実感すると同時に、ガン遺伝子の4大機能(受精活性/細胞代謝/発生プロセス/創傷治癒)に驚きを持ちました。ともに、生命現象成立の肝に位置する働きであり、一見、「ガン」と呼ばれるような性質のものではないと感じます。しかし、細胞代謝(増殖アクセル)にまつわって、前回ブログでも書いた”有性生殖”と重なりながらの「多様性創出」の働きが、細胞存続の担保を逸脱してしまうこと自体、宿命である事実。生命の妙を感じずにはいられません。いわゆる、増殖と廃棄・抑制の創る頂点こそ、生存の一点なのであり、これこそ遺伝子と細胞が演出する「動的平衡」現象のリアルと言えます。そして、それらを支配するのは唯一、法則のみであることが露わになるのは、分子生物学の時代がゆえのことでありましょう。ここで私見として想うことは、その法則の中に「空間認識:不可視領域」が未だに取り込まれないことの課題性です。ニュートン力学の次、などと悠長に待つことは無策だと強く感じています。

β 細胞競合と免疫

 意識母体は細胞膜に立ち上がり、集積としての器官には意思が宿る、、、この抽象表現を臨床で捉える時代の到来です。臓器間コミュニケーションの仕組みが拓かれつつある今、それらと同義で扱ってゆくテーマになっています。番組では、「細胞競合:防衛システム」の作動による、ガン細胞の排出シーンが映し出されていました。この働き自体は、ミクロレベルだけでなく、表皮から棘が自然に排出されるというマクロレベルでも同様に観察されるものであり、大きく診れば遺物感知と排除に代表される「自己免疫性」の一機能と出来るのかもしれません。そしてそれらが、新しいガン治療の領域として既に立ち上がっている状況は、人間界でのガン克服を期待させるものでした。(※免疫チェックポイント阻害剤:2014年承認済)また、ガン増殖細胞に抗するブレーキ役である抑制遺伝子「P53」の存在も紹介され、その強化活性による治験もなされているようです。しかしここでも、均衡崩壊という人為介入の無力さが露呈してしまう結果が出ていることに、大いに感じさせられています。正に、全てに通ずる法則性がここにあります。

まとめ

 今回のテーマ「癌:がん」で最も印象に残ったことは、やはり増殖と抑制の均衡に尽きます。それは、ミクロの細胞もしかり、マクロの関係性もしかり、だと想うばかりです。そういった生物属性に関する法則開示には、今でこそ分子生物学が主役として動いている訳ですが、旧来の古典英知にも豊富に散財している足跡を一つご紹介します。

「義は利の和なり」

※義は利の調和によって行われるものである。 出典:呂覧(BC3中華”秦”時代の古典)

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