続 白いスカーフ
ヒト と 空 にまつわる一つの終着点としてのお話です。
自身の認識、または、歴史的・系譜的視点から診て、本当の意味で「ラストサムライ」と言えるのは、予科練(海軍飛行予科練習生)であります。彼らの育んだ、身体性/精神性/知性をつぶさに垣間見るに、正に”納得”の一言です。日本男児の誉れ、ここにあり!です。これは単純な国粋主義を越えて、遺伝学でも確認できる時代になっていることからも、断言しようと思います。この世界の詳細は、以降で取り扱うとして、今回は彼らも含めた大日本帝国陸海軍の飛行兵達の飛行服姿:軍装を視て欲しいのです。スマホで検索されますと、幾つも上がって来ますので、観察してください。
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もうお分かりのとおり、共通して「白いスカーフ」を首に巻いている様子が見られると思います。これは装備品として軍から貸与されるものなのですが、一体何故、スカーフが使われるのでしょうか?多くは、死地へ赴く死装束 せめてものオシャレ 等、が言われますが、実態は決してそんなことではありません。その理由は、「首周囲の皮膚の保護」なのです。鶴のところでも書きましたが、空、特に高度が上がれば上がるほど環境は厳しく、低圧 低温 風圧 低酸素により、生存すら危ぶまれます。そんな中で、高度の乱高下 機体上下 左右 前後 編隊編成 索敵 に対し、常時注意を払い続けます。その生きるか死ぬかの行為の主役こそ、首関節の自由度です。では、ご自身でこの行為をシュミレーションしてみてください。激しい機体の運動と上昇下降、同時に動員される円転の首動作、戦闘時の興奮と緊張、恐怖等、これらは当然に大量発汗を引き起こし、頭部・頸部にも溢れることになります。もし、この汗を通常着衣の「襟」が吸収し、その襟のまま上空に上がったらどうなるでしょうか?それは、瞬時に凍り、頸部に対し鋭利な刃物のようになってしまいます。結果、頸部は傷だらけということになるのです。当時の機動部隊は、こういったことを経験しながら、どんな上空環境下でも首を保護する資材として、「絹のスカーフ」に辿り着いた訳です。一つの装備品をとっても、多くの知恵が含まれていることを知るにつけ、感じ入ります。