新根性論 GRIT

 数年前に、米国より輸入された造語で、4つの単語の頭文字を並べたものです。翻訳本が書店で平積みされていたので、ご存知の方も多いことと思います。国内では、ビジネス界での注目度が高いようで、一つ前のブームを創った「7つの習慣」に匹敵するものかもしれません。以下に、その4つの単語含め、キーポイントを並べてみましょう。

①4つの頭文字

 Guts(度胸):困難なことに立ち向かう

 Resilience(復元力):失敗しても諦めずに続ける

 Initiative(自発性):自分で目標を見据える

 Tenacity(執念):最後までやり遂げる

②4つの指針

 ●興味 ●練習 ●目的 ●希望

③2つの普遍性状

 ☆情熱 ☆粘り強さ

 著者のアンジェラ ダックワースは、元教育者の立場からの問題意識「高い学習性を示し、目標へ向けて邁進出来る人間と、そうでない人間を分ける性状の違いは何であろうか?またそれは、先天的なものなのか、環境的なものなのか?」への答えを見出すべく、鋭意研究している心理学研究者です。TEDで話している勢いを診るに、以降で更なる成果が期待出来ると感じられます。事実、全米の教育機関における共通指針に採用されたことも、時代性との合致を示しています。その研究手法は、正にアメリカ的(いわゆる成功者群の共通感性を抽出し、客観指標化するプロセス)ではありますが、調査対象が一般層から特異層まで非常に広範に渡っていること、取り組みテーマも偏りが少ないこと、などから、今までの成功哲学の飛躍感を拭った、より実感出来る結論に仕上がっていると思います。その辺りが、この拡大に繋がった要因の一つではないでしょうか。読めば、忍耐と継続 という普遍項の繰り返しと思いがちになりますが、それを支える基盤の精神性と行動努力の術 で述べられていることは、当然に法則を十分に穿った内容であり、無為横暴なる日本の伝統的”根性論”を喝破するに足るものかもしれません。その意味でも、パフォーマンスの時代に相応しい「新根性論」の登場と解釈しています。この米国からの提案に対して、自身が考えることを以下に書きます。

 甲)この視点を、日本の指導者/企業人が、日本の精神土壌に順化させた上でどう応用するか?

 乙)Guts ガッツ の含意する”臓器由来の情動エネルギー”(内臓力)をどう認識・運用出来るか?

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