ゲルマン魂 Ⅳ

 共同幻想としての”ゲルマン魂”を診ようとしていますが、あくまでも幻想ですから、追えば追うほど手からこぼれるようです。根底がローマンーシンドロームで支えられていることで言えば、現英国も北欧圏(デンマーク/ノルウェー/スウェーデン)も同等な精神性は持っています。しかし彼らとの大きな違いは、海路への開放という手段が取れなかったこと、と言えるでしょう。ともに同族由来であり、地政学視点での”海洋国家”ゆえ、ノルマンヴァイキングに始まり、大航海時代を経て、民族のレゾンデードルはある程度確保されて来た筈です。しかし思わぬところでの噴出現象が、『まさかの英国のEU離脱』になりました。このEUを取り巻く深層構造は、全てが古代から育まれており、現代に至るまで大きな影響を及ぼしているのです。そのドイツ版が、ゲルマン魂であるとの診方は、歴史認識の成せる業だと思います。ドイツは開放の代わりに、”抑圧”の憂き目に会いましたが、その抑圧が音楽大国・観念論哲学を生む土壌となったと言えるのではないでしょうか。前回に出た近代体育教育の礎を創造したことも、延長線上に来ることです。

 歴史上の3ステップを並べてみると、

AD 962 オットー 神聖ローマ帝国:第一帝国

AD 1871 ビスマルク ドイツ帝国:第二帝国

AD 1934 ヒトラー ドイツ共和国:第三帝国

 といった繋がりで捉えることが一般的です。中でも最も象徴的なものは、”強いドイツ軍”であり、その主幹を成しているのは、”プロシア”です。これは以前にも書きましたが、皇帝の独断采配であった戦争指揮に、組織と論理を持ち込むという改革を為した母体です。いわゆる『参謀本部』を創設し、近代戦の戦い方を大きく変えました。兵站の重要性を具現化したのも、この時代です。「戦争論」で知られる”クラウセヴィッツ”も、プロシア軍人ですから、この時代性が育んだ英知と言えるでしょう。現代ヨーロッパスポーツの戦略戦術論なども、ここに依拠することが多いので、言わずもがなのことと思われます。

 この動きとフランス革命、そしてナポレオンの出現は、時間を一にしていますが、ドイツの国民意識形成が否が応にも旺盛になりました。当然に、言語統一と教育も同時進行します。ビスマルクの台頭は、その総仕上げの形として捉えて良いと思います。 

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